第66回国民体育大会 関東ブロック茨城大会

7月23、24日の2日間、茨城県水戸市において第66回国民体育大会山岳競技関東ブロック大会が開催された。会場は市内の体育館に特設されたウォールで行われたが、周囲は至る所に道路の陥没や建造物の崩壊がみられ、先の震災の傷跡を生々しく伝えていた。

また、茨城県の選手や関係者に話しを聞くと、震災以来思うような練習や生活が出来ないストレスを抱えながらこの大会に備えてきたとのことで、大変な困難があったことを想像させた。

昨年の山梨県チームは、少年種別が男女ともに関東ブロックを突破したうえ、千葉本国体でも入賞を果たしたこともあって、当然ながら今年も期待を寄せて大会に臨んだ。国体における近年の競技水準は、他の全国大会と比べてもなんら遜色のないハイレベルなものであるが、そこで入賞できた背景には安田あとり選手と若尾龍隆選手という実力者の存在あってのことである。

しかし、今年の他県チームは圧倒的な強さを誇る選手がひとりで引っ張るのではなく、力のある選手をふたり揃えるチームを作ってきている印象をもった。選手の育成が進み、選手層が形成できている証だと思う。

競技はリードとボルダリングの2種目になって4年目ということもあり、進行上の問題はほとんどなく、落ち着いて勝負に挑める雰囲気の大会であったが、一昨年よりルールで義務づけられたセレモニーでのユニフォームの着用が徹底されず審判より忠告がされるなど、今後選手監督の意識改善が求められる場面もあった。


さて、少年女子はエースの安田選手がリード種目(L種目)で活躍。完登こそ逃したものの個人1位タイにつけたのだが、ボルダリング種目(B種目)でまさかの個人3位。総合で3位に沈み、今年は通過を逃すことになった。やはり過去2年のような個人技で得点を稼いで勝つというパターンが通用しないほど、他県チームのレベルアップが進んでいることを伺わせる内容であった。

続いて成年女子。初日のB種目は縄重未来が全完登を決めてチーム2位と好発進。調子も良さそうで、L種目でも実力を出し切ればと期待されたが、結果は6位と失速。残念ながら通過はならなかった。リードクライミング能力の向上が課題と言われて久しいが、今年もまた同じ敗因となってしまった。

少年男子はL種目でのスリップやクリップミスもあり5位と出遅れ、2年連続の通過が相当危ぶまれたのだが、得意種目のB種目で若尾選手が素晴らしい完登劇をみせて個人1位を獲得。怪我のため本調子ではなかった田中選手もなんとか1課題を完登して踏みとどまりチーム順位は1位。これで総合成績は大逆転して2位通過を決めた。


山口国体は山口市セミナーパークを会場に10月2日〜4日の日程で開催される。少年男子チーム、そして成年男子チーム(内藤聡・根路銘幸昌ぺア 監督:渡辺晴彦)をぜひ応援いただきたい。

記:山森政之(主任強化コーチ) 


【ブロック大会成績】
成年女子(縄重未来・戸田希ペア 監督:有賀弘)リード6位、ボルダリング2位、総合5位
少年男子(若尾龍隆・田中慎一ペア 監督:山森政之)リード5位、ボルダリング1位、総合2位
少年女子(安田あとり・渡部咲樹ペア 監督:村松久徳)リード3位、ボルダリング3位、総合3位