城が崎・スカラップ 嶺朋クラブ

山梨県在住のクライマー(矢花・大原)が、平成24年末から平成25年始めにかけて、相次いで城が崎海岸にある「スカラップ(5.12d-5.13a)」をRPした。グレード自体は今時としてはたいしたことは無いグレードであるが、ワイドクラックとしては国内最難(世界でも最難の部類に入ると思う)の課題である。このルートが初めて登られたのは、いまから28年前の1985年、池田功によって登られ、第2登は山梨県の大先輩「橋本覚」によって登られたというルートである。

その後「杉野保」による第5登の記録は残っているが、記録は残っていないため、登った人は非常に少ないと思われる「マニアック」なルートである。

岩の形状は、ルーフの下に大きな岩がぶら下がっており、その隙間を登っていくのだが、最初に見上げたときはその威圧感に圧倒されたのを覚えている。そのルーフにぶら下がっている岩の形がホタテ(スカラップ)の貝殻にそっくりなので、この課題名がついた。

ルーフとホタテの間には絶妙な隙間が見事につながっている。ジャミングするにはあまりに広すぎるし、かといって体が入るほどでもない。いわゆるワイドクラックに分類され、しかもルーフ状である。

こんなルートが面白くない訳がないことは、ワイドクラック経験者ならおのずと想像できる。しかしその特異な形状に、ルートを見上げた大半のクライマーは尻込みしてしまうに違いない。かく言う私も初めてこの岩場を訪れたのは、かれこれ10年ほど前であった。丁度そのときは、有名なクラッククライマーである、山岸尚将氏がトライ中であった。当時の私はクラックに興味はなく、同行していた佐藤祐介君がワントライ?したが、その当時は歯が立たなかったのを覚えている。

そんな私がクラックを本格的に始めたのは、平成22年の冬に開催された、山梨県山岳連盟主催のクラック講習会への参加がきっかけであった。敷居が高いと思っていたクラックも、プロテクションやクラック特有の注意事項を守れば、安全に登れる事がわかり、その後夏は小川山、瑞垣、冬は城が崎へ足繁く通い、スカラップへたどり着いたのが昨年であった。

今回ほぼ同時期にスカラップをRPした、同じ山梨のクライマーである大原広氏もやはり山梨山岳連盟主催のクラック講習会への参加がきっかけでクラックを始め、めきめきと上達していった。

クラッククライミングのきっかけを作ってくれた岳連に感謝するとともに、自分が目指す(クライミング中心であるが)の実践のほか、後進の育成にも尽力したいと思います。


スカップを登っている動画