剱岳 三ノ窓尾根

山名   剱岳 三ノ窓尾根
日程   2014(平成26).5.2~5
コース  1日目:甲府=扇沢=室堂〜雷鳥沢〜別山乗越〜剣沢キャンプ指定地
     2日目:〜真砂沢〜二俣〜三ノ窓尾根コル〜2400m小峰
     3日目:〜三ノ窓〜池ノ谷ガリー〜剱岳本峰〜剣山荘〜剣沢キャンプ指定地
     4日目:〜別山乗越〜雷鳥沢〜室堂=扇沢=甲府
メンバー 植松司、古屋寿隆(甲府昭和山岳会)

10年ほど前からゴールデンウイークには北アルプスの後立山、剱、槍穂高周辺の雪のクラシックルートを登り始めた。3年前二人の還暦山行としてこの時期7日間かけて湯俣から硫黄尾根を環状に歩いた。この時次は剱岳三ノ窓尾根と決めていた。剱岳本峰を経由して1周するルートに技術上の困難さは少ないが中高年隊には体力勝負の長い雪尾根だった。入山日までに立山で2件の死亡事故、剣岳源次郎尾根、小窓尾根で遭難が2件発生していたが、下山後、白馬、穂高、大山、雲取山ほかでも遭難が多発したことを知った。自戒のうえ用心。

1日目5/2晴れ

大勢の中国人観光ツアー客の混雑のなか、室堂の雪原を8:45出発。ポールに導かれ9:45ミクリガ池温泉で休憩、雷鳥沢キャンプ場を経て踝あたりまで雪に埋没しながら30kgの重荷にあえぎ途中何回も休みを入れて13:23剱御前小舎着。ピンクの三角旗の竹棹にそって剣沢を下ること40分でキャンプ指定地着14:05。先着のテント5張。トイレは雪下に完全に隠れているが青シートで入口がわかる。

2日目5/3晴れのち曇り、昼前から雨、夕方雨止む

3時起床5時出発。硬雪の剱沢を下る。平蔵谷、長次郎谷出合を経て7:15真砂沢ロッジのある台地は完全に雪に埋没。途中本流で雪が切断されるので左岸から右岸に移り急峻なトラバースのあと、再び左岸に移る。近藤岩上部の二俣から左の三ノ窓雪渓を上る。7:50すぐ右手の広いルンゼ状雪面に取り付き8:30三ノ窓尾根に出る。

尾根は雪庇を作らず左の三ノ窓雪渓側は切れ落ち、また雪面も急峻になるのでザイル確保しながら交互に登攀。9:43すぐ上のピークからカモシカが我々をじっとのぞき込んでいる。11時過ぎから小雨模様、次第に雨が強くなったので小雪峰をいくつか越えてテント1張り可能な峰上に泊まる(14:15)。

3日目5/4快晴のち曇り

6時出発。正面に小窓王、三ノ窓、チンネの尖頭が見えるが(写真1)、

南側は切れ落ちているので雪稜の北側を雪に埋没しながら(写真2)、

また急峻な雪壁を延々と40~50mごとスタカットで上り(写真3)、ようやく終了点に達して登攀具をすべて外す。この間中間支点としては各一か所とれば十分だった。三ノ窓まで1時間、11:58着。

ガイド付き2パーティ4人、小窓ノ王下に3パーティ10人。昨日ここで墜落事故があり富山県警ヘリによる救助があったとガイドが教えてくれた。12:08出発し、池ノ谷ガリーのがちがちの氷雪をふくらはぎの筋肉痛に耐えながら途中の岩溝で小休止12:35。2人がこのガリーを後ろ向きで下降してきた。13:16池ノ谷乗越に出る。中年スキーヤーが3人、これから池ノ谷を降りるという。八ツ峰には1パーティが懸垂下降の準備中。


13:30発、雪の主稜線の縦走で15:10本峰着(写真4)。祠は完全に雪に埋まって見えない。例年より2mは多かった昨年と比べても雪は多い。カニのよこばいの鎖場、階段をへて平蔵谷を過ぎ(ビバーク可)、前剱、一服剱の長くて遠くうんざりするほどの雪の登りや危険な降りを繰り返し閉鎖中の剱山荘上着18:12。雪面をトラバースしてひと登りでようやくテント場着19:20。本日の行動時間13時間20分、中年2人組にしてはよく頑張ったし粘ったものだ。

4日目5/5暴風雨のち雨

6時にゆっくり起きて8時出発。朝から雨。剣沢雪渓は次第に小粒のあられ交じりの暴風雨となり視界不良。50mごとのピンク旗の竹竿を何とか見つけながら重荷を背負って上るも突風によろけて耐風姿勢を何回もとり立ち止まる。強風で何回も飛ばされそうになった。竹棹が見えないほど暴風雨で荒れている。


10時ころ別山乗越着。ますます悪天になると小屋番が出てきて言う。風は強い。風雨とガスでルートがはっきりしないが竹棹に導かれて稜線を左折、10:30ようやく雷鳥沢に入ることができた。さらに何回もの上り下りを繰り返し硫黄の匂う小ピーク着。尾の先と頭だけが黒毛交じりの白い雷鳥2羽が小枝を啄んでいた。 13:30小雨の室堂着。